2002年10月の日記

 


10月5日 スーホの白い馬

町内会子供会主催で地域の公民館に本物のモンゴル人がきて馬頭琴を弾いてくれるという催し物があった.一応子供会主催なので,子供優先なのだが,息子は「音楽嫌い,絶対行かない」というので私一人で申し込んでしまった.

当日(本日)いやがる息子を無理に公民館へ連れて行った.幸い友達が居て,一緒におとなしく見てくれた.

感動した.あの美しい響きに涙してしまった.小さい音ながら雄大で,少し悲しい響きだ.バイオリンと胡弓の中間くらいの音で,音の間に弓をわざと,ぎゅっと角度を変えて音をさせて,コブシのような音を出す.(もちろん出さずにスムーズに弾くこともある)馬頭琴は,2本の弦がはってあり,ギターのいわゆる1弦で音階をならし,2弦でベースを弾くが,大抵,ベースは開放弦をならして,この音がいわゆる調になっているようだった.弦をおさえるのではなく,爪でよこから押さえるので,ギターでいうと,スライドバーのようなイメージである.(私も時々,スライドがないとき,爪で弦をおさえてスライドっぽくすることあります.馬頭琴はもともとそういうおさえ方らしい)

スーホの白い馬のお話では馬の皮で作られる楽器だったが,今は改良されて木で作られている.モンゴルは乾燥しているので,楽器前面を馬の皮で張ることがあるが,日本のように湿気の高いところでそのようなことをすると,皮が湿気をすってしまって,音が響かないらしい.

馬の首がマシンヘッドについているが,その下に鬼の顔もついている.この鬼は家畜を何十匹も食べてしまう伝説の鬼だが,この鬼を馬が戦って退治してくれるのだそうだ.その馬と鬼の戦いの曲も演奏してくれた.低い音中心の力強い曲だった.

演奏の前に,モンゴルの写真スライドと,彼のモンゴルの説明があった.草原の広がる美しい国で,田舎の人たちは放牧ジプシーとして今も生活している.モンゴルも都会ではそういうことはなく,定住しているらしい.モンゴルの都会のこどもと田舎のこどもの写真もあった.都会の子供は色白で清潔にされていた.田舎の子供は紫外線の影響を強く受けており,また,水がないのでお風呂にはほとんど入れないらしい.

放牧生活についても触れてあり,人間が家畜の乳をほとんど使うため,家畜の子供達はおなかいっぱいお乳をのめず,いつもおなかをすかしているとのことだった.かわいがって育てた家畜だが,肉を食べたいときは,胸を切り,そこから手をつっこんで,心臓近くの大動脈を一気に切って解体するのだそうだ.その写真もスライドにのっていた.「草原にはお店も何もありませんから.日本のお父さんでこんなことする人いませんよね.でも,モンゴルでは,お父さんがこうやって肉を解体します」といっていた.

動物園でも良く問題になっているが,(いや,ニュースを見ると,人間社会でもそうだ)時々,家畜は育児放棄をしてしまうらしい.おかあさんが子供を育てられないのだ.こういうとき,動物園などでは,飼育係がお母さん代わりになってあげたりする.

モンゴルでは,そういうとき,お母さんに馬頭琴で子守歌を聴かせる.何度も何度も子守歌を聴かせる.

子供をうんだものの,育てようとしない母羊に馬頭琴をきかせたところ,羊は子羊の方へ向かっていったという.また,同じような母牛に,ゆっくりと4回,子守歌を聴かせたところ,母牛は悲しそうな声を何度もあげ,そして,やはり,子牛を育てるようになったという.

「音楽は世界共通といいますが,本当です.言葉は通じないが,どこへいっても音楽は通じる.それは人間だけじゃなく,動物も同じです」

といっていた.馬頭琴のしらべならあり得るなと,私も思った.

チンギスハンを今も尊敬し,ジプシー生活を続け,相撲が大好きで,各家庭のお父さんが家畜を絞めることができる勇壮な民族だが,反面,とても優しい落ち着いた心も持っている.

動物が音楽に敏感というのは本当ですよ.こないだも,近所に竿竹を売りに来ていたとき,近所の犬たちが一斉に遠吠えを始めました.馬頭琴の音の高さはちょうどほ乳類の神経に訴える音の高さかもしれませんね. 


10月11日 エーシックス再リペア

本日は会社が休みだった.つきあっている某鎌倉製作所は休みではなく,ブツブツ文句を言っていたが,休ませてもらった.この休みを利用して,前回JESのリペアが不十分だったので,販売店のヤマハ北千里が,GODINの西日本の販売代理店の(有)ハリ-ズに再調整を依頼してくれたので,ギターを持っていった.(有)ハリ-ズはドラゴンフライと言うオリジナルブランドの製作や、その他GUITAR全般にわたるリペア、メンテナンスをおなっている会社らしく,JESよりはかなり信頼がおけるらしい.

なぜ,最初からハリーズに頼めなかったのだろうか?ときくと,まずは,総代理店のJESが保証元になっているので,そこにださないといけないらしい.でも,JESは小さい会社でギター全般の面倒はなかなか見切れないらしい.ギター業界も難しそうだなあ.

ついでにお金をだしてロックペグにしてもらうことにした.ヤマハのおにいさん自身はロックペグには否定的だったのだが,シロでロックペグの味をしめてしまった私にとって,ロックペグはもうマストアイテムなのだ.

さらに,全く関係ないのだが,スライドバーの話もきいてみた.私は何度も書いているが指が短い.だから,市販されているスライドバーを薬指にいれると,薬指がものすごく長くなってしまい,それをミュートする人差し指が薬指においつかなくなってしまう.だから短いスライドバーが欲しかった.

しかし,市販されているスライドバーの長さをみると概ね2種類で,極端に長い(というか,これが標準サイズ.男性の指の長さに揃えているらしい.)と極端に短いのしかなかった.で,おしえてもらったのが,

「ここだけの話なんですけど,これってソケットレンチなんですよ.だから,町の工具屋さんとかにいったほうが,種類も豊富で,値段も安いです」

とのことだった.なるほど,よく見ると,内部はソケットレンチのはめこみになっている.今度ホームズにでも行って買ってこようとおもった.

前回のようにギターを持っていった後,HEPとESTへ行った.こういう機会しか梅田へ行けないのであった.結局ESTでジャケットとシャツをかった.秋物のアイテムだ.これ着て出張行こう.


10月19日 めちゃめちゃって

つくばへ出張してバスにのったら,運転席後部の右側に隙間があり,運転席後部座席から運転手に話しかける人が多かったらしく,そこに張り紙がしてあり,

ここから運転手に話しかけないでください.運転に集中しているので,突然話しかけられると

めちゃめちゃびっくりします

と書いてあった.この書き方も面白いが,つくばの人って人なつっこいのだ.いい人ばかり.上野の駅というのは東北と東京をつないでいて,上野といえば,ハードロクカフェもある都会なのに,なんとなく東北なのだ.常磐線なんて茨城という関東地方へ行く列車のはずなのに,なぜか東北の雰囲気がある.車掌もなぜか年季の入ったいい感じの車掌さんだ.フレッシュひたちなんて乗っていると,必ず隣の席のおじさんは話しかけてくるし,お菓子が回ってくることさえある.このような人柄の土地だから,気軽に運転手に話しかけてしまうんだろうなあ.

というわけで,先週もつくばだったが,今週もこれから4,5日つくばだ.来週もつくばだったりする.本気で身代わりを立てることを考えなくては.なぜか,今のところ,この一連の実験ができるのは日本では私一人ということになっている.当たり前だ.私が実験計画たてたから.一つ一つの作業は他の人でもできるが,全部の流れを理解して出来る人がいないのよね.

こんなときにぎっくり腰になったらみんなどうするのかしら.ははは.(笑い事ではない)

ゆっくりの動作でいってきます.


10月25日 お客様んちでの実験の日々

機材をわんさか運び込み,キックオフ会議で喋りまくり,そして,自信満々で測定したら,「あら?測定でけへん」.私のバックにはお客様が10人ほどずらりと並び,私の操作を眺めている.メモをとりつつ見ている奴までいるというのに,うまく測定できない.焦るが,全然機械が言うこと聞かない.仕方なく,実験を中断させてもらい,即,測定器メーカーに電話する.この機械はこないだこわれて,何十万もかけて治したばかりなので壊れているはずがない.が,電話の向こうのSEは「お客様,その症状は完全にハードウェアの故障です.」と冷たい言葉.仕方なく,お客様に別の機械を用意していただき,必死で設定しなおし,測定するが,それもうまく動かず.でも,こっちはSEに電話すると,ソフトウェアバグで,ちょっとしたことで回避できた.

はー.お客の前で自信満々で測定していたのに,かっこわる.はずかしっ.

まあ,そういうこともありだったけど,概ね楽しく実験することができ,お客様とも,うちの会社の現場サイドとも仲良くなり,長くしんどかったが(毎日早朝から深夜まで実験and要領書と報告書書きしていた)まあ,結果オーライか.

クラッシャー板前な私だけど,たとえば,今回,私が通り抜けるだけで,エアシャワーの識別器がこわれて,出られなくなったりした.持っていった機械も勝手に壊れたし,やはり何かあるか?

一緒にいった関連会社のOさんが私と正反対の感じで,なんと,そのエアシャワー,私が通って以後,だれが通っても識別できなくなって,とうとう,識別器を使わないようになったが,そのOさんが通ったら,なんと治ってしまった.

以前にも,つくばへ行くのに,0さんが乗ったバスは渋滞無くすいすいついたのに,その1台後ろにのった私(一緒に並んでいたけど,後ろのバスになってしまった)のバスは事故に巻き込まれ,渋滞.ま,他にも,私がつくばへ行こうとすると,新幹線が地震のためストップし停電して真っ暗になったとか,台風が来たとか,今回もずっと晴れていたのに,私がお客様のところへいったら暴風雨になったとか,移動運は悪いんですけどね.

一緒に行っていた製作所のSさんに,「Oさんのうしろの百太郎と,keikoさんのうしろの百太郎が戦ってるんじゃないでしょうか?」といわれた.しかし「うしろの百太郎」といわれて,通じ合う私たちもいかがなものか?


結構良いホテルにとまったが,毛布に皮膚が負けてしまい,寝間着から出ている足の部分が大変なことになってしまった(ブツブツや腫れあがった箇所ができた).本日皮膚科で薬をもらったが,血だらけなので治りは遅いだろうなあ...しくしく.来週も行くから完全に皮膚を覆う寝間着でも持参するか.

長いこと家をあけたので,実家の母に来てもらっていた.息子は「高知のおばあちゃんが来るよ」と告げると「えー,いやだー,だって,何でも食べろっていうんだもん」とかいって怒っていたが,案外楽しくやっていたようだ.でも,さすがに私が帰宅したら,べったり甘えんぼになっていたけど.ま,それもよしか.


仕事に打ち込んで,ブルーな気分はちょっとだけ収まったかな.事態が最悪でも,気分を上に持ち上げるように努力しなくちゃね.

そうそう.明日は愛と水筒のリハ,そして,明後日はいよいよ本番だ!病気になったり,事故になったり,天災が来たり,家族になにかあったりしませんように.それさえなけりゃ,あとは自分の責任だ.


 

 

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